Japanese
English
特集 IgG4関連疾患――解明されてきた新たな病態
自己免疫性膵炎の長期経過
Long-term outcome of the autoimmune pancreatitis
渡邉 貴之
1
,
川 茂幸
2
Takayuki WATANABE
1
,
Shigeyuki KAWA
2
1信州大学医学部内科学第二教室
2松本歯科大学歯学部内科学
キーワード:
自己免疫性膵炎(AIP)
,
再燃
,
膵機能
,
慢性膵炎
,
悪性腫瘍
Keyword:
自己免疫性膵炎(AIP)
,
再燃
,
膵機能
,
慢性膵炎
,
悪性腫瘍
pp.121-124
発行日 2021年1月9日
Published Date 2021/1/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27602121
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1型自己免疫性膵炎(AIP)の長期経過においては,①再燃,②膵機能低下,慢性膵炎への進展,③悪性腫瘍の3点に対して注意する必要がある.再燃予防のためにステロイドは寛解導入から3年間の継続が有効である.可能であれば3年間以降も継続することが望ましいが副作用の出現リスクが高くなるため,現時点では継続の可否を症例ごとに判断する必要がある.膵機能低下,慢性膵炎への進展において,再燃,飲酒,膵萎縮,長期観察期間,膵頭部腫大やWirsung管およびSantorini管の不整狭細所見は膵石形成のリスク因子であり,このようなリスク因子を伴う症例はとくに慢性膵炎への進展に注意して経過観察すべきである.AIPにおける悪性腫瘍のリスクについてはさらなる検討が必要であるが,AIPの発症の一部にはparaneoplastic syndromeが関与している可能性が示唆されており,すくなくとも診断から1年以内においては膵臓以外にも全身の諸臓器に対して悪性腫瘍のスクリーニングを行うことが望ましい.
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