自己免疫性膵炎とシェーグレン症候群

Autoimmune Pancreatitis and Sjögren's Syndrome

　いわゆる自己免疫性膵炎の病因を自己免疫とする根拠のひとつに，シェーグレン症候群をはじめとする膠原病の合併が挙げられている．本稿ではシェーグレン症候群に合併した“いわゆる自己免疫性膵炎”および慢性膵炎症例の臨床像を示し，シェーグレン症候群と膵病変との関連について考察した．自己免疫性膵炎の典型例については，シェーグレン症候群合併の有無で臨床像の違いは見られない．シェーグレン症候群に合併した慢性膵炎の非代償期では，主膵管は細く分枝膵管の造影不良を示す症例が多い．典型的な自己免疫性膵炎の中にも，ステロイド治療後に同様の膵管像を示す症例があり，自己免疫性膵炎進行期の画像所見の特徴である可能性がある．これら進行例あるいは緩解期における臨床像，自己免疫性膵炎とシェーグレン症候群に合併する慢性膵炎との相違は今後の検討課題である．