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パーキンソン病患者は,摂食嚥下障害や低栄養のリスクが高い.今回,在宅療養中のパーキンソン病患者に対し,歯科医療機関に所属する管理栄養士が配食サービスを担当する他施設の管理栄養士と協働して栄養介入を行い,栄養状態の悪化を防いだ症例を経験したので報告する.【症例】70代後半の女性.5年前にパーキンソン病と診断され,進行にともないADLと摂食嚥下機能の低下がみられるようになった.3ヵ月で体重が7.0%減少し,咀嚼困難が影響して食事量が減少したことによるエネルギー摂取量不足の状態であった.在宅にて,歯科医師による摂食機能療法と口腔管理,管理栄養士による栄養介入を行った.【経過】摂食嚥下障害に対し,介護者である夫に食形態の調整について指導した.しかし,夫の調理技術は十分ではなく,配食弁当のおかずを刻むことから指導したが,夫の負担感が大きく,それ以上の調整は困難であった.そこで,配食サービスを担当する他施設の管理栄養士に配食弁当の食形態の調整を依頼した.適切な食形態に調整された配食弁当が提供されるようになったことから,食事摂取量が増加し,体重も増加した.【考察】パーキンソン病のような進行性の神経筋疾患の場合,患者の摂食嚥下機能を改善させる介入ではなく,機能の低下に合わせた食環境の調整を行うことが求められる.また,在宅症例の場合,食形態の調整を含む栄養管理は,主な介護者(多くは同居する家族)が担うことになる.本症例では,夫一人で食形態調整を行い,患者の誤嚥・窒息を予防し,栄養状態を維持させることは困難であった.そのため,他施設の管理栄養士と連携し,配食弁当の食形態の調整を実現させた.食環境の調整には,介護者が継続して実践できる方法を指導するとともに,介護者の負担を軽減するために社会資源を活用することや,地域において他職種あるいは同職種と連携して介入することが重要である.
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