特集 筋膜・皮下組織の疾患
臨床例
冷膿瘍・軟部腫瘍と鑑別を要した胆石の経皮排泄の症例
小田 富美子
1
,
村上 正基
,
藤山 幹子
,
藤山 泰二
,
佐山 浩二
1愛媛大学 医学部皮膚科学
キーワード:
術後合併症
,
鑑別診断
,
胆嚢炎
,
軟部組織腫瘍
,
腹腔鏡下胆嚢摘出術
,
腹部膿瘍
,
胆石
,
冷膿瘍
,
経皮排出
Keyword:
Cholecystitis
,
Diagnosis, Differential
,
Postoperative Complications
,
Soft Tissue Neoplasms
,
Cholecystectomy, Laparoscopic
,
Abdominal Abscess
,
Gallstones
,
Cutaneous Elimination
pp.57-60
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2016108440
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<症例のポイント>腹腔鏡下胆嚢摘出術後の落下胆石の経皮排泄のまれな1例を経験した。軟部腫瘍、冷膿瘍、放線菌症などと鑑別を要した。腹腔鏡下胆嚢摘出術での落下胆石は7~30%といわれている。その合併症としては腹腔内膿瘍が最多であり、とくにポート部腹壁と肝臓周囲後腹膜に多く認められる。平均5ヵ月での発症例が多いが、20年たってから発症した例も認められ、時間的、解剖学的に乖離があるため、胆石による膿瘍を疑って診察をしなければ診断はむずかしい。自験例では腹腔鏡下胆嚢摘出術は4年前に施行されており、発症部位がポート挿入部でもなく右側腹部であったため、当初その関連性については考慮されていなかった。胸腔内膿瘍は内科にて冷膿瘍と診断されていたため、胆石が経皮排泄された隙に初めて落下胆石による腹腔胸腔内膿瘍の診断に至った。皮膚科医も、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した患者の皮下腫瘤を診察した際は、落下胆石による膿瘍を念頭におくべきであると考えた。
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