特集 腸管不全症;基礎研究・臨床のトピックス
短腸症候群におけるD型乳酸アシドーシスと腸内細菌叢の関わり
中村 恵美
1
,
安藤 亮
1
,
和田 基
1
Megumi Nakamura
1
,
Ryo Ando
1
,
Motoshi Wada
1
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座小児外科学分野
pp.1025-1028
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000971
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はじめに
短腸症候群(short bowel syndrome : SBS)は,小腸の大部分が切除されることにより,消化吸収障害が生じる病態である。SBS患者では,適切な経腸栄養が行えないと,成長障害や腸管不全関連肝機能障害(intestinal failure associated liver disease:IFALD)が進行し,最悪の場合,死亡することもある。一方,経腸栄養を継続すると,未消化の炭水化物が大腸に達し,D型乳酸アシドーシス(D-lactic acidosis, D-LA)という合併症が発生する可能性がある。D-LAは運動失調,言語障害,錯乱などの中枢神経症状を引き起こし,日常生活に支障をきたす。予防法として,経口糖質制限,シンバイオティクス,難吸収性抗菌薬が用いられるが,発症を繰り返すことも少なくない。
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