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症例 60代 女性
2型糖尿病,高血圧症のため,近医A内科にてメトグルコ®(2,250mg),アクトス®,アマリール®,セイブル®などを内服中であった.
乳酸アシドーシス発現3日前頃:A内科にて37℃台の微熱,尿回数減少,食事摂取量は普段の半分ぐらいであったが,内服は続けていた.
発現日:食事はまったく摂取できなくなり,(メトホルミンを含む)内服薬も中止した.尿回数は2回/日とさらに減少し,1回尿量も低下した.
発現3日目:午後トイレから出てこなくなり,意識がもうろうとなった状態で家族に発見され,B病院に救急搬送された.
意識JCS E3V5M6.呼吸数18/分.血圧128/57mmHg,脈拍80/分,心房細動,体温 測定不能(32℃以下),血糖26mg/dL(すぐに50%ブドウ糖溶液投与).
主な検査所見:心エコー;心機能駆出率 50%.壁運動異常なし,心囊液なし.腹部エコー;水腎症なし,腎萎縮なし,覆水なし.動脈血ガス;pH 7.050,pCO2 24.4,pO2 130,HCO3-8.3,アニオンギャップ 42.7.Lac 20mg/dL,Na 136mEq/L,K 3.7mEq/L,Cl 85mEq/L,BUN 48mg/dL,Cre 8.59mg/dL,WBC 13,700/μL.
搬送時アセスメント:血糖是正と復温により意識レベルは問題なく回復した.本患者は何らかの感染症を契機に,経口摂取が低下し急性腎不全を生じ,メトホルミンなどの血糖降下薬内服による低血糖,乳酸アシドーシスが加わり,腎機能障害がさらに進んだと考えられた.
入院後経過:復温,補液,ブドウ糖による低血糖の是正,炭酸水素ナトリウムの投与および血液透析によりアシドーシス・腎不全も回復し,発現7日目から食事再開し,インスリン療法にて血糖をコントロールし,発現20日目に軽快退院となった.
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