特集 門脈血行異常に対する治療up to date
腹腔鏡下シャント閉鎖術を施行した先天性門脈体循環シャントの1例
安藤 亮
1
,
大久保 龍二
1
,
和田 基
1
Ryo Ando
1
,
Ryuji Okubo
1
,
Motoshi Wada
1
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座小児外科学分野
pp.502-505
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000822
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はじめに
門脈大循環短絡症(congenital portosystemic shunt:CPSS)(以下,本症)は,消化管からの静脈血が肝外または肝内で直接体循環に流入する静脈系の発生異常である。有病率は約3万出生に1人とまれな疾患だが1),新生児マススクリーニングの普及や画像検査技術の向上により,近年報告例が増加している。本症は肝内門脈が欠損するType Ⅰと肝内門脈が存在するType Ⅱに大別される2)。以前はType Ⅰは肝移植の適応とされていたが,近年の放射線診断および治療技術の進歩に伴い,重篤な門脈圧亢進症をきたさないように門脈圧を測定しながらシャント血管を閉鎖し,肝内門脈を発達させる治療戦略が確立されつつあり,このような治療戦略により肝移植を回避することが可能と報告されている3)。しかし,現状では本症に対する診療ガイドラインは存在せず,症状や治療の適応に関して明確な基準も存在しない。
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