特集 検査・処置・手術の合併症:予防と対策
手術・治療
Hirschsprung病
松浦 俊治
1
,
福田 篤久
1
,
川久保 尚徳
1
,
永田 公二
1
,
田尻 達郎
1
Toshiharu Matsuura
1
,
Atsuhisa Fukuta
1
,
Naonori Kawakubo
1
,
Kouji Nagata
1
,
Tatsuro Tajiri
1
1九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
pp.1213-1215
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000637
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はじめに
Hirschsprung病(以下,H病)は,腸閉鎖のような明らかな器質的閉塞病変がないにもかかわらず腸閉塞症状(腹部膨満,胆汁性嘔吐,難治性便秘など)を呈する機能的腸閉塞症である。腸管神経節細胞が先天的に欠如していることによる腸管蠕動不全がその病態である。無神経節腸管(aganglionic segment)の長さにより,短域型(short segment)約80%,長域型(long segment)約10%,全結腸型(total colonic)と小腸型(extensive)で約10%,まれであるが全腸管型(total intestinal)の病型に分けられる。この病型の内訳はわが国では30年間不変で,全世界的にもほぼ同様である1)。疫学的には成熟児の男児(男女比は3:1)に多く,出生5,000人に1人の頻度で人種差はない。手術・治療による合併症は,病型によって大きく異なってくる。大部分の症例で生活に支障はなく青年期や成人期に達するものの,消化管機能・排便機能障害が長期にわたり残る症例が少なからず存在することが指摘されている。
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