特集 小児外科疾患に関連する症候群
13trisomy・18trisomy
高橋 正貴
1
,
泊 卓志
1
,
谷 有希子
1
,
大石 芳久
2
,
中尾 厚
3
,
尾花 和子
1
Masataka Takahashi
1
,
Takuji Tomari
1
,
Yukiko Tani
1
,
Yoshihisa Ohishi
2
,
Atsushi Nakao
3
,
Kazuko Obana
1
1日本赤十字社医療センター小児外科
2日本赤十字社医療センター小児科
3日本赤十字社医療センター新生児科
pp.352-358
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000402
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はじめに
13trisomy(T13)・18trisomy(T18)症候群は,常染色体異数性の染色体異常症で,13・18番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症候群であり,児の予後は併存疾患によって大きく異なる。有病率はT13では1/5,000~12,000人,T18では1/3,500~8,500人とされている1)。生命予後は大規模なpopulation-based studyに基づく2000年ごろまでのエビデンスでは,1年生存率がT13・T18ともに5.6~9.0%程度2)とされていた。死亡原因の多くは中枢性無呼吸であるために,QOL(身体的・精神的苦痛を含む)を考慮して以前は先天性心疾患に対する外科手術を回避することが多かった。すなわち日本の医療現場でも世界的な潮流と同様にT13・T18は「現在行っている以上の治療は行わず一般的養護(保温,栄養,清拭,愛情)に徹する」に分類されていたのである。しかし,欧米では症例の蓄積と経験に基づいて2000年以降はそれまでのパターナリスティックな方針から患者・家族・社会に応じた対応が望ましいというように変化し,個々の患者に寄り添った対応が求められるようになった3)。そしてわが国でも2004年に「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」4)が発表された(表1)。当院でもちょうどその時期からT13・T18患児の心疾患に対して積極的な治療介入を選択肢として提示し5,6),必要に応じて外科治療を行ってきた。
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