症例
高年初産婦に発生した18-trisomyの1例
熊坂 高弘
1
,
斎藤 幹
1
,
西 望
1
,
加藤 広英
1
,
木村 隆
1
Takahiro Kumasaka
1
1東京医科歯科大学産婦人科学教室
pp.973-976
発行日 1971年9月10日
Published Date 1971/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204492
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先天性奇形児の出産は,われわれ産婦人科医を悩ます重要な問題の1つであるが,その発生原因は大部分が不明で,従つてその予防対策も単なる推測を脱しない場合が多い。先天性奇形のうち染色体異常によるものがかなり含まれていると考えられるが,常染色体については十分な検索が行なわれなかつたためもあり報告が少ない。常染色体異常による奇形に関しては,1)21-trisomy (蒙古症),2)13-15(D1(trisomy, 3)16-18(E) trisomy症候群が,それぞれ特徴ある症候を呈するものとして知られている。このうち16-18 trisomyの症候群としては,Edwardsら(1960)1)が17-trisomyの1例を報告して以来次第に症例が増加し,近年では年間を通して文献的に2〜3例の報告が見られる。本邦においても染色体検査設備の増加とともに急速にその報告例2〜11)が多くなり,現在はおそらく20例を超えるのではないかと思われる。
最近われわれは高年初産婦の娩出児に18-trisomyの1例を確認したので報告する。
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