特集 腸内細菌を学ぶ
急性虫垂炎
生田 稜
1,2
,
早川 智
2
,
越永 従道
1
Ryo Ikuta
1,2
,
Satoshi Hayakawa
2
,
Tsugumichi Koshinaga
1
1日本大学医学部外科学系小児外科学分野
2日本大学医学部病態病理学系微生物学分野
pp.165-168
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000360
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はじめに
急性虫垂炎は最も身近な小児腹部救急疾患の一つであるが,その病因は明らかではない。急性虫垂炎の原因の一つとして虫垂内腔の狭窄・閉塞がある。それは糞石,異物,リンパ過形成,虫垂の屈曲や走行異常,腫瘍などによる虫垂内の管腔閉塞によって内圧が上昇して虫垂粘膜の循環障害が起き,細菌が壁内に侵入して炎症の波及が引き起こされると考えられている。しかし,これは病因の一部であり,その他の病因として遺伝的要因,季節や気候などによる環境の影響,アレルギー説などあるが,最近では腸内細菌叢の関連が注目されている(図)。これまでは細菌の同定には,シャーレを用いた培養法が行われていたが,近年16S rRNA遺伝子ベースの次世代シークエンサーの使用によって網羅的に細菌叢が解析されるようになってきた。そこで急性虫垂炎においても腸内細菌叢が病因に大きな役割を担っていると考えられるようになっている。
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