腸内細菌と小児疾患

はじめに

　ヒトの口腔，消化管，気道，皮膚，泌尿・生殖器には，1,000種類以上，約38兆個もの細菌が常在している。そのうち90％以上を占める消化管の細菌集団は腸内細菌叢（gut microbiota）と呼ばれ，ヒトの腸内で一定のバランスを保ちながら共生している。近年，その役割が明らかになるにつれ，重要な研究テーマとして注目を集めており，米国国立医学図書館のPubMedでキーワード “Gut Microbiota” で検索すると，年間論文数が最近20年で1,000倍以上（2000年：11件，2021年：12,390件）に増えている（2022年11月7日検索）。