特集 小児外科を取り巻く最新テクノロジー
Hirschsprung病に対する機械学習を用いた病理診断支援システムの開発
天野 日出
1
,
木村 和恵
2
,
今井 佑太
2
,
加藤 竜司
2
,
中澤 温子
3
,
城田 千代栄
1
,
滝本 愛太朗
1
,
住田 亙
1
,
牧田 智
1
,
岡本 眞宗
1
,
安井 昭洋
1
,
高田 瞬也
1
,
中川 洋一
1
,
加藤 大幾
1
,
檜 顕成
1
,
内田 広夫
1
Hizuru Amano
1
,
Kazue Kimura
2
,
Yuta Imai
2
,
Ryuji Kato
2
,
Atsuko Nakazawa
3
,
Chiyoe Shirota
1
,
Aitaro Takimoto
1
,
Wataru Sumida
1
,
Satoshi Makita
1
,
Masamune Okamoto
1
,
Akihiro Yasui
1
,
Shunya Takada
1
,
Yoichi Nakagawa
1
,
Daiki Kato
1
,
Akinari Hinoki
1
,
Hiroo Uchida
1
1名古屋大学医学部附属病院小児外科
2名古屋大学大学院創薬科学研究科
3埼玉県立小児医療センター臨床研究部
pp.1007-1011
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000254
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はじめに―背景・目的
Hirschsprung病は腸管の蠕動を司る神経節細胞が肛門から連続的に欠如し,イレウスをきたす先天性疾患であり,約5,000出生に1人の割合で発生するといわれている1,2)。通常,結腸造影によるcaliber change,直腸肛門弛緩反射陰性,および経肛門的直腸粘膜生検によるアセチルコリンエステラーゼ陽性の神経線維増生と粘膜下神経叢内の神経節細胞の欠如を確認して診断する。診断が確定すると手術が必須であり,根治手術として肛門側の無神経節腸管の過不足ない切除と,口側の正常腸管を引き下ろして肛門に吻合するpull-throughが行われる。術中にpull-through腸管に十分な数の神経節細胞があることを病理組織学的に確認することが重要となる。無神経節腸管を完全に切除できなければ,術後も排便障害が残存するため管理に難渋し,再手術が必要となることがあるからである3)。しかし,神経節細胞の明確な判定基準がなく,Hirschsprung病の診断は熟練した病理診断医の主観に委ねられているのが現状である。希少疾患であるがゆえに,すべての病理診断医が豊富な経験を積むことは難しく,熟練した病理診断医は非常に限られている。さらに,夜間休日などの時間外の緊急手術時には病理診断医が不在のため,術中に正常腸管と無神経節腸管の境界を正確に把握することが難しい。
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