特集 小児外科を取り巻く最新テクノロジー
超音波検査におけるAI活用の虫垂炎診断
林 健太郎
1,2
,
川嶋 寛
2
,
石丸 哲也
2
Kentaro Hayashi
1,2
,
Hiroshi Kawashima
2
,
Tetsuya Ishimaru
2
1東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻小児医学講座小児外科学分野
2埼玉県立小児医療センター外科
pp.1012-1016
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000255
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はじめに
急性虫垂炎は最も一般的な腹部救急疾患の一つで,小児から高齢者まで,世界中の救急現場でよく遭遇する疾患である。小児の虫垂炎の診断には,放射線被曝による侵襲がない超音波検査が第一選択であると国際的に推奨されている。しかし,超音波検査で虫垂を明瞭に描出するには技術が必要であり,現場で小児救急を担当する小児科医・救急医の多くは虫垂炎を超音波で描出・確認することが困難なため診断につながらず,熟練者が行えば本来不要であったはずのCTが撮影されている実情がある。実際,研究開始時に研究代表者が所属していた埼玉県立小児医療センターではほぼ全例が超音波で診断可能であったが,他院で精査が行われた症例では,ほとんどが紹介前にCTが撮影されていた。これは国外でも同様で,小児に不慣れな施設ではCTを撮影する傾向にある1)。
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