特集 「低侵襲治療」小児への適応と可能性
気管腕頭動脈瘻 コイル塞栓
古田 繁行
1
,
大山 慧
1
,
田中 邦英
1
,
川口 皓平
1
Shigeyuki Furuta
1
,
Kei Oyama
1
,
Kunihide Tanaka
1
,
Kohei Kawaguchi
1
1聖マリアンナ医科大学小児外科
pp.792-795
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000210
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はじめに
気管腕頭動脈瘻(TIF)の発生率は0.1~1.0%と低いが,気管切開もしくは喉頭気管分離手術後の致死性合併症の一つとして知られている1,2)。気管,腕頭動脈,胸骨間の圧迫壊死により発症するが,気管カニューレの位置,炎症,創傷治癒の遅延など,複数の要因がTIF発症に関与している。ひとたびTIFを発症し,胸骨切開術が行われると,40%が術後縦隔炎を発症し,術後2か月の死亡率は50%とされる3)。気管切開もしくは喉頭気管分離手術の多くは,虚弱な重症心身障がい者(児)に行われ,このような集団がTIFを合併し,胸骨切開などの手術侵襲が加わることで死亡率を高めている。そのため,侵襲性の低い血管内治療は,胸骨切開に関連する不利な点を軽減するための新たな治療戦略となりうる。
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