特集 短腸症候群の診療における問題点
第118回東京小児外科研究会より
短腸症候群における腸管関連肝障害と脂肪乳剤
渡辺 稔彦
1,2
,
藤野 明浩
2
,
金森 豊
2
Toshihiko Watanabe
1,2
,
Akihiro Fujino
2
,
Yutaka Kanamori
2
1東海大学医学部小児外科
2国立成育医療研究センター外科
pp.297-301
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000078
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
小腸機能不全関連肝機能障害(intestinal-failure-associated liver disease:IFALD)は,主に腹壁破裂,中腸軸捻転,腸閉鎖症,壊死性腸炎など新生児の小腸の外科的疾患に起因する短腸症候群に発症する合併症である。IFALDは短腸症侯群を背景として長期静脈栄養に依存する小児の60%に起こるとされ1),うち25~40%は末期の肝不全に陥る致死的な合併症として知られており2),その臨床像は成人症例とは全く異なる。ω3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含んだ魚油由来の脂肪乳剤の有効性が報告され3,4),われわれもこれまでその有効性と安全性を報告してきた5)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.