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腸管不全関連肝障害
腸管不全(intestinal failure:IF)とは「腸管機能の低下により生命の維持や成長に最低限必要な栄養,水分,電解質を腸管から吸収できず,経静脈的な補給を要する病態」と定義される1)。小児において中腸軸捻転,腹壁破裂,先天性腸閉鎖症,壊死性腸炎などによる短腸症候群や広範型Hirschsprung病,Hirschsprung病類縁疾患などの腸管運動機能障害,難治性下痢などの機能的障害など,さまざまな疾患,病態によりIFに陥るが,新生児期に発症するものが多いことが知られている。腸管穿孔,切除などの合併の有無にかかわらず,早期産児,低体重出生児などにおいて腸管の未熟性により静脈栄養(parenteral nutrition:PN)を要する病態も広義にはIFに含まれる。腸管不全関連肝障害(intestinal failure associated liver disease:IFALD)はIFに合併する最も重篤な合併症で,発症した場合には死亡率も高い2)。IFALDのうち特にPNに関連するものを静脈栄養関連肝障害(parenteral nutrition associated liver disease:PNALD),新生児,乳児のIFにおいて胆汁うっ滞を伴うものを静脈栄養関連胆汁うっ滞(parenteral nutrition associated cholestasis:PNAC)とよんでいる。IFALDは「長期間のPNを要するIFにおいて,肝硬変への進展,脂肪肝炎,胆囊病変などの合併の有無を問わず,胆汁うっ滞を含む,ほかに明らかな要因がない,さまざまな肝臓病変の総称」と定義される3)。PNACはこれに加え,直接ビリルビン1~2mg/dLあるいは総ビリルビン値の20%以上の胆汁うっ滞を伴うものとされている。
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