特集 短腸症候群の診療における問題点
第118回東京小児外科研究会より
短腸症候群術後の栄養評価―回盲弁および回腸末端の重要性についての考察―
荻野 恵
1
,
岡本 健太郎
1
,
伊藤 佳史
1
,
西潟 綾
1
,
水野 裕貴
1
,
松寺 翔太郎
2
,
渡邊 峻
2
,
山口 岳史
2
,
谷 有希子
2
,
土岡 丘
2
,
鈴木 完
2
Kei Ogino
1
,
Kentarou Okamoto
1
,
Yoshifumi Ito
1
,
Aya Nishikata
1
,
Yuki Mizuno
1
,
Shotaro Matsudera
2
,
Shun Watanabe
2
,
Takeshi Yamaguchi
2
,
Yukiko Tani
2
,
Takashi Tsuchioka
2
,
Kan Suzuki
2
1東京医科歯科大学病院小児外科
2獨協医科大学病院小児外科
pp.259-261
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000070
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はじめに
短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)の病態は,先天性あるいは後天性疾患に対し小腸の広範囲切除を行った結果生じる,吸収不良を主とする腸管不全(intestinal failure)である。術後早期には中心静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)が必要であるが,残存腸管の代償機能の回復とともに経腸栄養(enteral nutrition:EN)に移行し,TPN離脱を目指して治療を行う。小児SBSの吸収障害の程度を規定する因子は,残存小腸長や回盲弁の有無,残存腸管の部位,腸管切除時の年齢,基礎疾患,残存腸管の病変の有無などである(表1)1)。最も重要なものは残存小腸長であり,TPN離脱の予測因子として残存小腸長の目安が示されている。回盲弁もその機能の面から,SBSの予後に対する影響は大きい。また,小腸広範囲切除時に回盲弁切除となった場合,回腸末端が同時に切除されることが多い2)が,回腸末端の機能も術後の栄養管理の面から重要視されるべきである。
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