特集 短腸症候群の診療における問題点
巻頭言
短腸症候群の診療における問題点
土岡 丘
1,2
Takashi Tsuchioka
1,2
1獨協医科大学医学部
2獨協医科大学埼玉医療センター小児疾患外科治療センター
pp.216-217
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000061
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はじめに
短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)の予後は,中心静脈栄養(parenteral nutrition:PN)を中心とする栄養療法の発展により飛躍的に改善してきたが,長期PN施行を余儀なくされるPN離脱困難例では,PNカテーテルに依存する感染症による敗血症〔カテーテル関連血流感染症(catheter related blood stream infection:CRBSI)〕と小腸不全関連肝機能障害に起因する肝不全〔腸管不全関連肝不全(intestinal failure associated liver disease:IFALD)〕が予後を規定する因子として残っている。いかに残存する腸管を最大限に利用し経腸栄養(enteral nutrition:EN)を促進し,PNから離脱できるかがSBSの予後をさらに改善するため重要な課題である。また各治療に精通する専門家が集学的治療を行う腸管リハビリテーションプログラム(intestinal rehabilitation program:IRP)が提唱されている。本特集では2021年の東京小児外科研究会の発表演題を中心に,さらに本症の治療のエキスパートの先生にそれぞれの分野の最新の話題を執筆いただいた。
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