特集 小児外科疾患のQOL;最近の話題
末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC)によるQOL向上
伊藤 佳史
1
,
岡本 健太郎
1
,
荻野 恵
2
,
水野 裕貴
1
,
鎌田 悠子
1
,
岡本 将太
1,3
,
印南 優衣
1
Yoshifumi Ito
1
,
Kentaro Okamoto
1
,
Kei Ogino
2
,
Yuki Mizuno
1
,
Yuko Kamata
1
,
Shota Okamoto
1,3
,
Yui Innami
1
1東京科学大学(東京医科歯科大学)小児外科
2獨協医科大学病院小児外科
3土浦協同病院小児外科
pp.467-471
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001183
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はじめに
末梢挿入式中心静脈カテーテル(peripherally inserted central venous catheters:PICC)は末梢静脈を穿刺し,先端が中心静脈に位置するよう留置する静脈路である。薬剤や栄養の確実な投与経路としてだけでなく,逆血採血も可能なため,挿入後は,末梢静脈路確保や採血のための血管穿刺がほぼ不要となる。これより,血管穿刺の負担が大きい小児患者にとって,PICCは特に有用と考えらえる。静脈路にはさまざまなデバイスと経路が存在し,対象や適応によって最適な手法が選択される。『血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン2011』1)にて,輸液期間が6日を超えると見込まれるとき,ショートタイプの末梢静脈カテーテル(末梢点滴)ではなく,ミッドラインカテーテルまたはPICCの使用が推奨されるなど,従来は中心静脈カテーテルや末梢点滴が選択されていた対象へのPICC使用が拡大している2)。今回,PICCがいかに小児医療においてQOL向上に寄与するかを自験例から後方視的に検討した。

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