特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
これから対象となる可能性のある疾患
プロテオーム解析による新生児スクリーニング:到達点と今後の課題
小原 收
1
OHARA Osamu
1
1かずさDNA研究所ゲノム事業推進部
pp.1840-1843
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002174
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はじめに
1950年代に生まれた分子生物学は,地球上の生命が生体分子機能の積み重ねとしてどのようにシステム維持されているか,という基本原理を教えてくれた。個々の分子の異常は生体システムの異常をもたらし,それが巨視的に観察されるようになると疾患発症として認識される。しかし,分子レベルの異常が巨視的なレベル(臨床症状)として観察されるまでには,一般的に時間差を伴うことが多い。そのため,もし臨床症状として疾患が発現する前に分子レベルでの異常に気づくことができたら,多くの重篤な疾患の発症を未然に防げるのではないか? これがゲノム情報を基礎とした分子レベルでの解析に期待されていることの一つであることは間違いないであろう。とくに,環境要因の影響が少ない新生児ではほぼ遺伝的素因によって分子表現型は決まっているため,新生児スクリーニングが予防医学として有用であると考える根拠を与えてくれている。
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