特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
総論
新規疾患スクリーニングの社会実装に向けた行政研究の取り組みについて
但馬 剛
1
TAJIMA Go
1
1国立成育医療研究センター研究所マススクリーニング研究室
pp.1735-1740
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002153
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はじめに
フェニルケトン尿症による精神発達遅滞の予防を目的として,1963年に米国で開始された新生児マススクリーニング(newborn screening:NBS)は,食事療法が有効なアミノ酸・有機酸・脂肪酸・ガラクトースなど低分子物質の先天代謝異常症と,安価な薬物療法が有効な内分泌疾患(先天性甲状腺機能低下症・先天性副腎過形成症)などへ徐々に拡大され,近年はより高度な治療技術の開発を背景として,NBSの対象も新たな領域の疾患へ急速に拡大している。対象疾患の選定に関して,米国では連邦レベルの委員会(Advisory Committee on Heritable Disorders in Newborns and Children:ACHDNC)が統一パネル(Recommended Uniform Screening Panel:RUSP)を提示し,各州はこれに則って対象疾患を順次拡大する仕組みが作られている。欧州でもEUレベルの組織(European Union Committee of Experts on Rare Diseases:EUCERD,European Union Network of Experts on Newborn Screening:EUNENBS)によって対象疾患選定の検討が行われている。
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