連載 新・健康格差社会 どこまで解明・対策は進んだか・4
今後必要となる取り組みと研究②—エビデンスのレベルと実装研究
近藤 克則
1,2
1千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門
2国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部
pp.704-708
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201721
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期待される研究—見えない世界の「見える化」
喫煙を「個人の嗜好や自由」だと主張する愛煙家などからの反対で,なかなか進まなかったたばこ対策が,前回述べた国際条約(WHO総会採択のたばこ規制枠組み条約)で義務とされた理由には,「たばこが死亡,疾病および障害を引き起こすこと」や「たばこの煙にさらされる他人の健康に悪影響を及ぼすこと」に関する明白な科学的証拠が蓄積されてきたという背景がある。
前回紹介したゼロ次予防も,広く知られ,多くの関係者の連携によって社会に実装されるためには,研究—見えない世界の「見える化」—による科学的根拠の蓄積が必要である。
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