特集 ゲノム医療とがん看護 ~私たちはなにを知って,なにをする?~
【がんゲノム医療入門】
ゲノム医療の行政の取り組み
上野 秀樹
1
Hideki UENO
1
1国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科・臨床研究支援部門研究実施管理部
pp.718-720
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_718
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はじめに
わが国ではがん対策基本法およびがん対策推進基本計画に基づきがんへの取り組みが進められている.がんの診療体制に関しては,全国どこにいても質の高いがん医療が受けられることを念頭に,小児がん拠点病院やがん診療連携拠点病院等が整備されてきたが1),近年急速に発展してきたゲノム医療は,高い専門性が必要なことから,既存の枠組みでは対応できない可能性が指摘されていた.そこで国はがんゲノム医療に必要な体制や制度を検討することを目的に,2017年にがんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会を開催し,がんゲノム医療を提供する機能を有する医療機関(以下,がんゲノム医療機関)を整備することや,それらの施設で行われたがんゲノム医療の情報を集約・利活用する機関を設置すること等を提言した報告書を取りまとめた2).2018年3月に策定された第3期がん対策推進基本計画には,「がんゲノム医療」の項目が初めて取り上げられ,個人に最適化されたがん医療の実現を目標に,表1に示すようなさまざまな取り組むべき施策が示された3).本稿ではこれらの中からがんゲノム医療の提供体制および情報集約体制に関する行政の取り組みを紹介する.
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