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特集 小児臨床検査2024
Ⅸ.免疫学的検査
11.TREC,KRECスクリーニングおよび二次精査
TREC, KREC screening and secondary workup
村松 秀城
1
Hideki Muramatsu
1
1名古屋大学大学院医学系研究科小児科学
キーワード:
重症複合免疫不全症
,
TREC
,
KREC
,
新生児マススクリーニング
Keyword:
重症複合免疫不全症
,
TREC
,
KREC
,
新生児マススクリーニング
pp.312-314
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001944
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1 重症複合免疫不全症
重症複合免疫不全症(severe combined immunodeficiency:SCID)は,重篤なTリンパ球減少と,さまざまな程度のBリンパ球の欠損により特徴づけられる単一遺伝子疾患の集合である。CD3+Tリンパ球減少(<300個/μL)とPHAリンパ球刺激試験に対する反応低値(正常下限の10%未満)か,母体由来のTリンパ球が存在することで定義される1)。現在までに,リンパ球の成熟と増殖に関与する20以上の遺伝子がSCIDの原因となることが知られている。家族歴に基づいて新生児期に診断されるSCID患者が20%にとどまる一方,出生時にはSCID新生児は健康な新生児と区別がつかない。免疫系の機能欠落により,適切な治療を受けなければSCIDに罹患した児は持続性の日和見感染と発育不全を呈し,通常は生後1年以内に感染症により死にいたる。同種造血幹細胞移植は根治的な治療法となるが,近年,一部のSCIDに対して遺伝子治療の開発が進んでいる2)。
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