特集 小児の渡航医学
各論
渡航関連感染症
【コラム】海外に長期滞在する日本人小児が直面する困難
田中 孝明
1
TANAKA Takaaki
1
1川崎医科大学小児科学
pp.975-977
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001725
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はじめに
近年の国際化に伴い,海外渡航者数は年間2000万人前後を推移し,そのうち15歳未満の小児は100万人を超えていた。COVID-19パンデミック後に渡航者数は激減したものの,2023年には約1000万人まで回復した(法務省出入国管理統計)。一方,海外在留邦人(長期滞在者および永住者)数はCOVID-19パンデミックにもかかわらず130万人前後を推移している(外務省海外在留邦人数調査統計)。小児のデータは限られているが,小中学生は約8.3万人がアジア(39.3%),北米(32.5%),欧州(20.2%),大洋州(3.4%),中南米(2.3%),中東(1.3%),アフリカ(0.9%)に長期滞在している(2017年,文部科学省文部科学統計要覧)。長いライフスパンのなかで小児期は心身ともに急激な変化を遂げる時期であり,海外に在住する日本人小児における教育・健康・安全は帯同する家族において大きな関心事である。
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