特集 IPEの達成とこれから 「地域で学ぶ」を中心に
滞在実習で育む地域医療マインド
横山 まどか
1
,
相馬 仁
2
1札幌医科大学 保健医療学部 看護学科
2札幌医科大学 医療人育成センター 教育開発研究部門
pp.122-128
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200098
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背景と目的
北海道は全国の約22%の面積をもつ広大な土地を有している。このなかで医療者は都市部に偏在しているため,地域医療従事者の確保ができず,地域の医療は疲弊し,過疎地に暮らす人々に不安を与えるなど,社会問題となっている。特に,医師の数は,北海道全体では全国平均を上回るものの,地方の公立病院では慢性的に医師が不足し,充足数を満たしていない病院は37%にのぼる(平成20年度厚生労働省調べ)。看護師・准看護師の数においても同様の傾向がみられ,2006(平成18)年の診療報酬改定で新設された「入院基本料7対1」により,都市部と地方病院の看護師数の偏在を助長した。保健師は地域での複雑で多様なニーズに応じられる専門職のキャリア開発が求められ,その確保が課題となっている。また,作業療法士・理学療法士においても都市部への偏在が進み,札幌市およびその近郊に約半数が集中する一方で,約40%の町村ではいずれの職種が1名もいないという現実がある。
さらに,高齢化に伴う要介護者の増加,生活習慣病の増加,疾病構造の多様化・複合化に加え,患者の権利意識,高度医療の要望などが背景にあり,現代の健康問題に対して,疾病の診療,予防にとどまらない,幅広い医療活動が求められる。
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