特集 小児科医のキャリア・デザイン~「こども臨床」の魅力を語る
さまざまな活躍の魅力を語る~各論②
製薬企業における活動
坂口 佐知
1
SAKAGUCHI Sachi
1
1日本イーライリリー株式会社研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部
pp.142-144
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001487
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はじめに
まず,筆者が製薬企業で働くことになった経緯を簡単に紹介しよう。2001年に医学部を卒業後,小児科に入局。小児科専門医を取得後は小児がんを専門として大学病院で勤務していた。2007~2010年,縁がありカナダの小児病院の臨床薬理部門で働く機会を得た。このときに,臨床試験の基礎を学ぶことができたこと,海外の小児病院で多くの新薬の臨床試験が行われていることを知ったことが今につながっているといえる。とはいえ,その時点では製薬企業で働くという選択肢は全く頭になく,帰国後,再び大学病院での勤務に戻ったときも,体力が続く限りは現場で働いていくつもりだった。その一方,日々の診療のなかで,日本では小児の新薬の臨床試験数が極端に少なく,海外で標準治療になった新しい薬剤もなかなか使用できるようにならないという状況を実感し,もどかしい思いをもつようにもなっていた。そんなとき,製薬企業で働いていた小児科医の知人に声をかけられ,卒後15年目に転職を決意した。知人の「一緒に小児の薬を開発しよう」という言葉が決め手だった。
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