医療の焦点
製薬企業の問題点
水野 肇
pp.90-91
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912643
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ピンチに立つ製薬業界
日本の製薬業界は,いろいろな面から,いまピンチに立っているという。大手20社の11月決算はいずれも,前年を下回り,製薬業界の在り方という,これまで考えられなかった問題に逢着している。
昨年(昭和40年)ぐらい,薬の業界にいろいろな事件がおきたことはなかったともいえるだろう。ここ数年来,製薬業界はかなり強く批判されつづけてきた。昭和37年に問題となりはじめたグロンサン無効説に引きつづいて,38年には史上最大の惨劇とまでいわれたサリドマイド系睡眠薬によるフォコメリア(アザラシ状奇形児)その間,海外のニュースとして,アメリカで経口避妊薬による血栓静脈炎による死亡,デンマークで,プレルディンの発売停止(半陰陽誕生のため)と相ついだ。そして,昨年に入って,アンプル入りカゼ薬のパブロンによるショック死,さらに,9月に塩酸ナファゾリンによる角膜障害,そして,アメリカの成育薬理学会の発表による胎児への危険性から考えて,妊婦は,ビタミンB6に至るまで危険であるというきびしい発表が行なわれた。
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