特集 知っておきたい周産期・新生児医療up to date
出生前
出生前・着床前遺伝学的検査の進歩と課題
三上 幹男
1
MIKAMI Mikio
1
1東海大学医学部専門診療学系産婦人科学
pp.1733-1736
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001381
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産婦人科医の扱う生殖・周産期医療の特殊性
1978年に世界で初めて体外受精に成功し女児が生まれてからほぼ40年,2021年わが国では11人に1人の出生児は体外受精・胚移植(in vitro fertilization-embryo transfer:IVF-EF)で妊娠した児である。IVF-ETには,導入当時には予想もしなかった大きな「できること」があった。① 当事者男女の間だけではない生殖医療[他人の精子・卵子・受精胚での妊娠と代理懐胎(代理母,つまり他人の子宮での妊娠)],② 精子,卵子,受精卵(胚)の凍結長期間保存,③ 出生前(妊娠成立前)に児の遺伝学的情報を知ること,以上の3点である。また,非侵襲性出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing:NIPT)の導入により,非確定検査ではあるものの母体血清中の胎児DNAを用いた遺伝学的検査も可能になってきており,技術革新はとどまるところを知らない。このように生殖・周産期医療には,「命の選別」が懸念される生命倫理的な検討が必要なものが多く含まれている。
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