特集 出生前診断
着床前診断の現状―進歩と課題
末岡 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.158-162
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102963
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はじめに
1980年代以降,体外受精とその関連技術を中心として,生殖医療の発展はめざましく,技術の普及は挙児を希望する夫婦に大きな力をもたらしている.現在,わが国の出生児の2.7%が体外受精によって誕生している.
1990年代以降には,遺伝子解析および診断技術の開発もまた急速に発展を遂げ,疾患の原因となる遺伝子解析や遺伝子・染色体の解析法が幅広く開発された.これらの成果から体外受精による単一の胚細胞由来の遺伝子診断を行う着床前(遺伝子)診断(preimplantation genetic diagnosis;PGD)の概念が生まれ,技術が発展を遂げた1).PGDは体外受精によって得られた配偶子や初期胚の一部から遺伝子または染色体を解析することで,目的とする重篤な遺伝病の発生につながる胚を診断することが可能となる.
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