特集 新しい時代の小児感染症
各論:感染臓器別
腎・泌尿器感染症
膀胱炎,腎盂腎炎(AFBNを含めて),腎膿瘍
古市 美穂子
1
FURUICHI Mihoko
1
1埼玉県立小児医療センター感染免疫・アレルギー科
pp.557-560
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000842
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膀胱炎
1.疫 学
わが国における小児の膀胱炎(下部尿路感染症)の疫学は不明である。先行研究の文献レビューによると女児・男児ともに全年齢で発症があり,2~4歳の間にピークを認めている1)。発熱は認めないもしくはごく軽度で,尿の混濁や頻尿,尿意切迫感を認める。5歳以上では成人の膀胱炎と同じような症状(排尿痛,残尿感,下腹部痛),身体所見(恥骨上の圧痛)が得られることが多い2)。女児の場合は,排尿時に陰部を後ろから前に拭うことで直腸付近の菌が尿道周りに付着して膀胱炎の原因となる。肥満や便秘は尿路感染症に共通したリスクであり,肥満児は慢性的な炎症の存在により非肥満児と比較して約2倍罹患しやすく3),便秘は直腸に溜まった便が正常な排尿を妨げるため,罹患しやすい。膀胱炎をくり返す場合は膀胱機能異常を疑う。
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