特集 分子標的薬を極める
各論
膠原病・自己炎症症候群 ベーチェット病
田中 良哉
1
TANAKA Yoshiya
1
1産業医科大学医学部第1内科学講座
pp.209-212
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000761
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はじめに
ベーチェット病は,口腔粘膜のアフタ性潰瘍,皮膚症状,ぶどう膜炎,外陰部潰瘍を主症状とし,急性炎症性発作を反復することを特徴とする。ぶどう膜炎による眼発作の反復は視力低下,失明をひき起こし,特殊病型である腸管型,血管型,神経型ベーチェット病は,しばしば臓器障害や生命予後の低下を呈する。ベーチェット病に対する治療の目的は,発症早期より生じる失明をはじめとする不可逆的な臓器障害を阻止することである。しかし,副作用が懸念される非特異的なグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド薬)や免疫抑制薬が治療の中心であり,病態メカニズムに立脚した分子標的薬の開発が期待されてきた。ベーチェット病の病態形成において重要な役割を担うTNFに対するモノクローナル抗体を用いた分子標的治療は,眼発作を顕著に軽減し,臓器障害に対しても高い有効性と予後の改善をもたらした1~5)。本稿では,わが国でベーチェット病に承認されているTNF阻害薬を中心に,分子標的薬の最新情報を概説する。
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