Japanese
English
増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅷ.境界領域疾患
11.難聴
Deafness
守本 倫子
1
MORIMOTO Noriko
1
1国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科
pp.1065-1069
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000702
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1 基本病因,発症機序
先天性難聴は1.86/1,000人の頻度とされており,そのうち60~70%が遺伝性難聴とされ,20%が先天性サイトメガロウルス(congenital cytomegalovirus infection:cCMV)感染に伴うものであり,残りの15%は仮死や黄疸などの周産期要因とされている。遺伝性難聴のなかではダウン症やWaardenburg症候群などの症候群性が20%であり,非症候群性ではGJB2遺伝子変異などの常染色体潜性(劣性)遺伝形式のものが多い。表に難聴のリスクファクターを示す1)。ただし,実際にはNICUに48時間滞在した児はすべて難聴のリスクを有しているとの指摘もある。難聴の頻度は4歳になると2.7/1,000人の頻度に増加することが知られている2)。これは,出生時には正常であった聴力が進行性に低下,または遅発性に低下する児がいることを示唆している。遺伝的な原因としてはSLC26A4遺伝子変異によるPendred症候群,またcCMV感染によるものが代表的である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.