特集 いま話題の5歳児健康診査を詳しく学ぶ
各論 5歳児健診の実際 健診 留意すべき他科疾患
耳鼻咽喉科―難聴に気づくポイントとその対応
守本 倫子
1
MORIMOTO Noriko
1
1国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科
pp.647-650
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002397
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はじめに
新生児聴覚スクリーニングの普及により,生後早期に先天性難聴が診断されるケースは増えているが,後天性の難聴や軽度難聴は見逃されることがありうる。このため,1歳半,3歳児の健診では,音への反応や言葉の遅れがないか問診とささやき声検査などで確認が行われており,さらに就学時には聴力検査が行われて聴力が評価されている。5歳児にも感覚器の健診を行う意義はなにか。難聴や言語発達の遅れは社会性の発達にも大きな影響を及ぼすため,少しでも早期に発見して介入される必要があることは知られてきていると思う。しかし,多くの言語指導施設が就学前までしか指導が困難であることはあまり知られていない。3歳児健診後は発見されず,就学直前になってようやく難聴や言語発達に異常が指摘された場合,就学までに評価している時間が短く,さらに指導を受ける機会が少なくなることが問題であった。

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