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特集 臨床医のコモンセンス・1―内科医に必要な他科知識
耳鼻咽喉科
難聴
Hearing Impairment Hearing Loss Deafness
鈴木 淳一
1
Jun-Ichi Suzuki
1
1帝京大学耳鼻咽喉科
pp.874-875
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900597
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- Abstract 文献概要
・幼小児の高度難聴と言語獲得:ヒトにとって,おそらく最も重要な機能,言語機能は,聴覚の存在を前提としている.先天性高度難聴はしばしば両側性で,言語機能獲得が困難である.わずかの残聴を認める症例が多いが,1歳前後から補聴器装用と聴覚言語指導を適切に行うことにより社会適応が可能になることが少なくない.
・中等度難聴の学校・社会への適応:中等度難聴は,少し声を張り上げると聞こえるので,大きく問題視されないばかりでなく,"勝手つんぼ"などと言われ,むしろ非難されがちである.学校の成績も上がらず職場での信用も芳しくないなど,結局社会の下積みに甘んずることが少なくない(→1).
・聴力改善手術:鼓室形成術,アブミ骨手術など聴力改善手術は,40年の歴史を踏まえ,ようやく高い成功率を誇る近代的顕微鏡下手術となった.医師も患者も20年前の記憶を一新すべきである.
・補聴器の購入:今日の補聴器は,エレクトロニクスの進歩により,眼鏡に比較すべき精密機器となった.とくに乱視混入の場合など十分な精密視力検査の結果によって眼鏡を購入するのと同様,精密な聴力検査なしに補聴器購入はありえない.
・加齢による難聴には補聴器:耳からの情報注入は高齢者の社会生活維持に必要である.家族・知人との会話からはずされないよう配慮したい.幸い老人性難聴には補聴器が十分役立つことが多い.
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