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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
10.ADAMTS13欠損症,von Willebrand病
ADAMTS deficiency and von Willebrand Disease
野上 恵嗣
1
NOGAMI Keiji
1
1奈良県立医科大学小児科
pp.872-876
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000668
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1 基本病因,発症機序
von Willebrand因子(von Willebrand factor:VWF)は,血管内皮細胞から超高分子量の多重体(unusually-large VWF:UL-VWF)マルチマーとして産生される。血管壁が破綻して出血が起きると,血管・血管内皮下組織から露出したコラーゲンにVWFが結合する。VWFは血小板表面上の糖蛋白(GPIbなど)と結合し,「ずり応力」によって進展・活性化され,血小板活性化と凝集を惹起して血小板血栓を形成し,一次止血として重要な役割を果たす。VWFは種々の分子量(500~20,000kDa)のマルチマー構造を呈し,高分子マルチマーほど止血活性が高い。ADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13)は,このUL-VWFマルチマーを切断する機能をもち,相対的に活性の低い低分子体にすることでVWF活性機能を適正に維持し,過剰な血小板凝集を阻害することで止血を制御する働きを示す(図)1)。
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