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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
6.先天性骨髄不全症候群―Fanconi貧血およびDiamond-Blackfan貧血
Congenital bone marrow failure syndrome(Fanconi anemia and Diamond-Blackfan anemia)
濱 麻人
1
HAMA Asahito
1
1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院小児医療センター血液腫瘍科
pp.852-857
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000664
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Fanconi貧血
1 基本病因,発症機序
Fanconi貧血(Fanconi anemia:FA)は遺伝子変異によるDNA修復機能障害に伴う染色体不安定性を特徴とする遺伝性疾患であり,先天奇形,進行性骨髄不全,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)や白血病への移行,固形がんの合併が特徴である1)。FAの年間発生数は5~10人,出生100万人当たり5人前後で男女差はなく,FA遺伝子の保因者は200~300人に1人と推定される2)。FAは遺伝的に多様な疾患であり,遺伝的要因の95%は解明され,現在までに表に示すように22群(A,B,C,D1,D2,E,F,G,I,J,L,M,N,O,P,Q,R,S,T,U,V,およびW)の原因遺伝子が同定されている。遺伝形式はFANCBおよびFANCRを除いて常染色体潜性(劣性)遺伝形式を示す。欧米の検討ではA群がもっとも高頻度(60~70%)であり,C群,G群と合わせて80%以上を占める。日本人における解析では,A群の頻度がもっとも高くついでG群が多くみられるが,C群はほとんどみられない3)。
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