増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
15.Fanconi症候群
折田 義正
1
,
山内 淳
1
,
鎌田 武信
1
1大阪大学医学部・第1内科
pp.2153
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222034
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■概念
1936年Fanconi1)が最初にまとめた本症の概念は,発育障害を伴うくる病で,尿蛋白,腎性糖尿,低リン血症がみられるというものであった.シスチン蓄積症(cystinosis)と同一視された時期もあった(Lignac-Fanconi症候群)が,その後表1に示すごとく,種々の先天性代謝異常症や薬物中毒などの後天性疾患でも同様の症候を起こしうることが明らかとなった.現在では,主として近位尿細管におけるアミノ酸,ブドウ糖,リン酸,重炭酸,尿酸,低分子量蛋白,K,Ca,Na,Mg,水など多彩な再吸収障害を特徴とする尿細管疾患として捉えられ,古典的概念で最も特徴的であったくる病様の骨病変は必ずしも必須とされない場合が多い.
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