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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
5.再生不良性貧血
Aplastic anemia
吉田 奈央
1
YOSHIDA Nao
1
1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院小児医療センター血液腫瘍科
pp.847-851
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000663
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1 基本病因,発症機序
再生不良性貧血(aplastic anemia:AA)は,末梢血における汎血球減少と骨髄低形成を特徴とする症候群である。国内小児における年間発症数は70~100人であり,成因によって先天性と後天性に分けられる。小児では先天性がおよそ10%を占め,Fanconi貧血,先天性角化不全症,Shwachman-Diamond症候群などの遺伝性骨髄不全症候群がその代表であり,生殖細胞系列の遺伝子変異により造血不全を発症する。後天性の大部分は特発性(一次性)であるが,薬剤・放射線被曝などによる二次性もある。特発性の多くは,造血幹細胞を標的とする自己免疫機序による造血抑制が病因と考えられている。特殊なものとして肝炎に関連して発症するものや発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)に伴うものがあり,同様に免疫機序の関与が考えられる。
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