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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
7.免疫性血小板減少症
Immune thrombocytopenia
森 麻希子
1
MORI Makiko
1
1埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科
pp.858-861
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000665
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1 基本病因,発症機序
免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia:ITP)は,B細胞から産生される抗血小板抗体による血小板の破壊亢進と産生低下によって血小板減少を生じる自己免疫性疾患である。抗血小板抗体が産生される機序の1つは,小児では発症前に先行感染を伴うことが多く,ウィルス感染などを契機として,血小板表面上の抗原とウィルス抗原に交差反応する抗体が産生されることが挙げられる。一方で,自己の血小板抗原を非自己として認識する機序も想定されている。本来,抗原提示細胞に貪食された血小板抗原由来のほとんどのペプチドは,自己の主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex:MHC)クラスII分子に結合しない潜在性ペプチドとなる。なんらかの病的状態において,潜在性ペプチドが抗原提示細胞からMHCクラスⅡ分子とともにCD4陽性T細胞に提示され,自己反応性T細胞,B細胞が活性化され抗血小板抗体が産生される。
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