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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅵ.発達障害,心身症,精神疾患
25.起立性調節障害
Orthostatic Dysregulation
石崎 優子
1,2
ISHIZAKI Yuko
1,2
1関西医科大学小児科学講座
2関西医科大学総合医療センター・小児科
pp.822-826
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000658
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1 基本病因,発症機序
起立性調節障害(orthostatic dysregulation:OD)は,起立という体位の変換に伴う循環動態の変化に対する生体の代償的調節機構が,なんらかの原因で破綻して起立耐性が低下し,循環調節不全に陥ったものである。立ちくらみ,朝起き不良,嘔気,食欲不振,全身倦怠感,頭痛,腹痛など多彩な症状がみられ,午前に症状が強く,午後から夜にかけて症状は軽快する1)。従来ODは起立性低血圧(orthostatic hypotension:OH)として知られており,身長の伸びや初潮発来など身体の成長の著しい学童・思春期に好発する一過性の予後良好な病態とされていた。典型的には,朝礼などで長時間立っていると倒れる,同じころから朝起きづらくなっているといった主訴で受診し,とくに治療せずとも自然に良くなると考えられていた。しかし近年,午前中の不調のため遅刻したり,頭痛や全身倦怠から不登校になったりして経過が遷延するようになった。むしろ不登校との関係で注目されるようになり,ベテランの小児科医・循環器科医・耳鼻科医などから,「30年前のOHは身長の伸びる時期に好発しなにもしなくてもよくなったが,ODとは別のものか?」と質問されることも少なくない。
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