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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅴ.骨・運動器疾患
20.ステロイド性骨粗鬆症
Glucocorticoid-induced osteoporosis
窪田 拓生
1
KUBOTA Takuo
1
1大阪大学大学院医学系研究科小児科学
pp.683-686
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000632
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1 基本病因,発症機序
グルココルチコイド(glucocorticoid:GC,わが国では単にステロイドとよばれることが多い)は炎症や免疫系を抑制するために広く使用されている。ステロイド性骨粗鬆症は海外ではglucocorticoid-induced osteoporosis(GIO)とよばれる。GCの大量かつ長期的な使用は,さまざまな副作用をひき起こすことが知られているが,GIOは主要な合併症の一つである。GIOは二次性骨粗鬆症のもっとも一般的な原因であり,医原性疾患である1, 2)。過剰なGCは骨密度(bone mineral density:BMD)の低下と脆弱性骨折をもたらす。GIOにおける骨量減少は,治療開始後1年間は6~12%程度の急激な骨量減少を示す初期段階と,そののちは年率3%程度の緩やかな骨量減少を示す長期段階に大別される1, 2)。GIOの影響をおもに受ける骨格部位は,おもに海綿骨で構成される椎体や大腿骨などである。骨折の発生率は,使用期間(累積投与量)と現在の投与量に影響される。GIOの異質性は大きく,炎症性疾患などの基礎疾患,年齢,BMD,骨折の既往,GCに対する個人の感受性などが骨折リスクに影響する。GIOのエビデンスは成人が中心であり,小児に関するエビデンスは少ない。小児期は骨量増加・骨のモデリングを認める点が成人とは異なる。
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