骨粗鬆症診療の進歩 骨折の予防と克服をめざして
骨粗鬆症はどうして起こるのか? ステロイド骨粗鬆症
田中 良哉
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1産業医科大学 医学部第一内科学
キーワード:
Diphosphonates
,
Glucocorticoids
,
Hydrocortisone
,
骨芽細胞
,
骨吸収
,
骨形成
,
骨粗鬆症
,
破骨細胞
,
アポトーシス
Keyword:
Bone Resorption
,
Diphosphonates
,
Glucocorticoids
,
Hydrocortisone
,
Osteoclasts
,
Osteogenesis
,
Osteoporosis
,
Osteoblasts
,
Apoptosis
pp.455-459
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009305741
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合成糖質コルチコイド(ステロイド薬)による骨代謝異常症、すなわちステロイド骨粗鬆症は、ステロイド薬投与による最多の副作用で、約25%を占める。ステロイド薬はコルチゾールと同様、糖質コルチコイド受容体に結合して核内へ移行し薬理作用を発揮すると同時に、GRE領域を有する遺伝子の転写を介して副作用を生ずる。その結果、ステロイド薬は骨芽細胞を抑制し、破骨細胞を活性化することにより、骨密度と骨微細構造を減衰して骨代謝異常、すなわち骨粗鬆化を促進し、高い脆弱性骨折率を招く。したがって、ステロイド骨粗鬆症は的確な管理と予防が必要である。ビスホスホネート製剤は、ステロイド骨粗鬆症における骨密度と骨微細構造を改善して骨折発生率を抑制する。ステロイド薬を3ヵ月以上使用する症例、とくに高齢者や脆弱性骨折既往例では、一次予防も推奨される。
©Nankodo Co., Ltd., 2009