- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
最近の動向
ステロイド性骨粗鬆症の歴史を表1に示す.初めて米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)よりステロイド性骨粗鬆症の予防と治療に関する勧告が発表された時点では,ステロイド性骨粗鬆症に対する薬剤の臨床試験は行われていなかったことがわかる.その後,英国,カナダからガイドラインが提唱されると同時に,経口ビスホスホネート製剤の臨床試験結果が発表された.そして,ACRと英国の改訂,オーストラリアからの発表があり,ビタミンK2の臨床効果と活性型ビタミンD3のメタ解析の結果が発表された後に,わが国初のステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインが2005年に発表されている.2007年に世界保健機構(World Health Organization:WHO)による個々の患者の10年間の絶対骨折危険率を判定するツールであるFRAX®1)の発表があり,その後のガイドライン,勧告や枠組みではいずれもFRAX®が導入されてきた.その後,テリパラチド,ゾレドロン酸のhead to head試験の結果が発表され,2014年4月にわが国のステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインが改訂,発表された2).
本ガイドラインの改訂作業に当たっては,種々の理由によりFRAX®はステロイド性骨粗鬆症における骨折リスクを過少評価する可能性があることから採用しないこととした.そのため,2年以上の縦断データを有する日本人のステロイド性骨粗鬆症患者1,047例について検討した結果,年齢,ステロイド使用量,腰椎骨密度,既存骨折が独立した新規骨折の危険因子として同定され,①65歳以上,②1日平均ステロイド投与量7.5 mg以上,③既存骨折の3つの因子は強い新規骨折の危険因子であり,骨密度測定なしに薬物治療開始が勧められた.また,各因子についてスコア化がなされており,スコア3点以上が薬物治療開始基準とされた.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.