Japanese
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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
22.大脳白質変性症
cerebral hypomyelinating leukodystrophy
小坂 仁
1
,
井上 健
2
OSAKA Hitoshi
1
,
INOUE Ken
2
1自治医科大学小児科
2国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第二部
pp.348-352
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000572
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1 基本病因,発症機序
中枢神経の大多数を占めるグリア細胞(オリゴデンドロサイト,アストロサイト,ミクログリア)の遺伝性疾患は,大脳や小脳の “白質” が主たる罹患部位であることから遺伝性白質変性症と総称される。それらは髄鞘形成不全による白質変性症(先天性大脳白質形成不全症)と脱髄による白質変性症に分けることができ,後者にはライソゾーム病やアミノ酸代謝異常症などの多くの病態が含まれる1)。本稿では前者の先天性大脳白質形成不全症について述べる。国内で行われた疫学調査ではわが国での発症率は,10万人出生あたり0.78人であり,そのうち頻度がもっとも多いのはPelizaeus-Merzbacher病(PMD)で,10万人出生あたり0.26人であり,海外からの報告とほぼ同様である2)。
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