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大脳白質は交連線維,連合線維,投射線維からなっている。本稿では,これらの線維束が障害されることによって生じると思われる症候について述べた。白質病変を呈する背景病態はマルキアファーヴァ・ビニャミ病(MBD),軸索スフェロイドを伴う遺伝性びまん性白質脳症(HDLS),筋強直性ジスロトフィー1型(DM 1),多発性硬化症などであり,これらについての筆者らの研究を示し,病巣と症候を対比した。
MBDでは,左右大脳半球を結ぶ交連線維の障害が生じ,左手の失行など各種の半球間離断症候が生じる。連合線維の障害によって,半球内離断症候が起こる。HDLSは日本人に好発する遺伝性白質脳症として近年特に注目されている。認知症症状を呈し,従来は若年性認知症の中に埋もれていた可能性があるが,症候内容は独特である。DM 1では社会的認知障害が生じ,情動系回路として知られているヤコブレフ・ナウタの回路の障害によることが示唆される。脳幹から大脳中央部を通る投射線維は上行性の賦活系を含み,多発性硬化症などではこの系が障害されて注意障害が起こる可能性がある。パーキンソン病における認知機能障害は,大脳基底核-大脳連合野を結ぶ両方向性の回路の障害で生じると考えられることが多い。
大脳皮質障害のみでなく,大脳白質病変で各種の高次脳機能障害が生じる。
Abstract
In this presentation, I will examine the intricate systemic connections in the white matter and the disturbances that occur due to diseases. In particular, I will discuss Marchiafava-Bignami disease, leukodystrophy with neuroaxonal spheroids, and myotonic dystrophy. Investigation of all three diseases reveals the crosstalk essential for the healthy brain and the resulting dysfunctions that follow lesions of different etiologies.
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