連載 神経病理アトラス・16
中枢神経系の変性疾患(2)—白質変性症の病理
猪瀬 正
1
1横浜市大神経科
pp.981-988
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201923
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白質変性症Leukodystrophy
汎発硬化症diffuse sclerosisの変性型ともいう。大脳白質が広汎にわたつて硬化を示す病的状態で,それは炎症性のもの(Schilder病),変性型のもの(leucodystrophy)と腫瘍性のものの3型に分けられる。leucodystrophyでは,大脳白質の髄鞘が侵されて,それに対する星形グリアの線維性増殖が起こる。それで硬化というわけである。また髄鞘の崩壊は,多くの場合軸索の変性崩壊を伴うが,炎症性のものとくらべると,スダン好性の中性脂肪の出現は一般に軽く,また清掃過程に関与するscavenger cellsの動きも非常に鈍い。さらに,髄鞘の崩壊過程自体に特異な化学的機制が想定される場合や,独特の脱髄形態を示す場合や,特異な細胞の出現をみる場合などがある。それらの特徴をもつて,leucodystrophyの分類が試みられている。つまり,崩壊産物の染色性や形態学的特性によつて分類されているといつてよい。右に掲げるのは,J. Peifferの分類である。
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