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特集 脳と糖脂質
GM2ガングリオシド蓄積症モデルマウス脳内への組換え酵素補充効果と蓄積糖脂質の変動
Replacement effects of recombinant enzyme intracerebroventricularly adiministered to model mice with GM2 gangliosidosis on changes of the accumulated glycolipids
伊藤 孝司
1
,
辻 大輔
1
Kouji Itou
1
,
Daisuke Tsuji
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部薬科学教育部附属医薬創製教育研究センター創薬生命工学分野
pp.234-239
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100850
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GM2ガングリオシドーシスは,複合糖質糖鎖の非還元末端にβ結合したN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)またはN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)残基の分解活性をもつリソソーム性β-ヘキソサミニダーゼ(Hex,EC3.2.1.52)およびその補助因子であるGM2アクチベータータンパクの遺伝子変異が原因で,脳内GM2ガングリオシド(GM2)の過剰蓄積と中枢神経障害を主症状として発症する先天性糖質代謝異常症(リソソーム病)である1,2)。
Hexはαおよびβの二種のサブユニットから構成され,活性発現には二量体形成が必須であるが,その組み合わせによりHexS(αα),HexA(αβ)およびHexB(ββ)の3種のアイソザイムとして存在する。各サブユニットには基質特異性の異なる触媒部位が1ヵ所ずつ存在し,β鎖が中性糖鎖を認識するのに対し,α鎖は硫酸化GalNAc残基などを含む酸性糖鎖に対する選択性が高い。また,生体内では主にHexAとHexBが発現しており,HexSは不安定なためその存在量は少ない。さらに,アイソザイムのうちHexAのみがGM2アクチベータータンパクと協同してGM2を分解することができる1,3)。
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