Japanese
English
増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅱ.先天代謝異常
23.ムコリピドーシスⅡ・Ⅲ型
Mucolipidosis Ⅱ, Ⅲ
近藤 秀仁
1
,
大友 孝信
2
KONDO Hidehito
1
,
OTOMO Takanobu
2
1京都第一赤十字病院小児科
2川崎医科大学分子遺伝医学教室
pp.161-165
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000537
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1 基本病因,発症機序
ムコリピドーシス(mucolipidosis)Ⅱ型・Ⅲ型は特徴的な顔貌と,関節拘縮,精神運動発達遅滞や多発性異骨症(dysostosis multiplex)とよばれる特有の骨変化を呈する常染色体潜性(劣性)遺伝性のライソゾーム蓄積症(lysosomal storage disease)である。1967年に,ムコ多糖症のハーラー病に類似するが尿中ムコ多糖の排泄増加が認められない疾患として報告され,患者の皮膚線維芽細胞には多数の封入体(inclusion body)が観察されたためPseudo-Hurler polydystrophyやI-cell病(Iはinclusionの意)とよばれた1)。その後ムコ多糖症とスフィンゴリピドーシスの症状を併せ持つ疾患ということで「ムコリピドーシス」と命名された。ムコリピドーシスにはⅠ~Ⅳの4つの型があり,ムコリピドーシスⅠ型は現在シアリドーシスと名称が変更されている。ムコリピドーシスⅣ型はライソゾーム膜のトランスポーターであるmucolipin-1の変異により引き起こされる別の疾患である。本稿においてはムコリピドーシスⅡ型とⅢ型について解説する。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.